ドローンを使って高所作業のサポートと故障箇所探し
最終更新日 2023年3月14日
監修・著者 株式会社しごとウェブ編集部
風力発電施設の現場で
高所での作業にドローンの機動性が用いられています。例えば、風力発電施設の点検作業にドローンが使用されており、初期点検や不良箇所の発見後の地上との連携などの使用例が見られます。地球環境に優しい動力源を確保するため、日本でも風力発電設備の設置数は増加しており、それに伴った故障や事故も増えるようになったと言われています。
現在のところ、風力発電の点検修理は作業員が実際に目で見て点検を行っているため、時間も手間も費用もかかります。落雷などによりダメージを受けやすい風力発電の設備は定期的な点検が欠かせず、かつ作業員も危険にさらされることから、目立たない問題として一部では危惧されてきました。しかしドローンにより、不良箇所などをかなりの程度特定し、それから高所作業員が所定の作業を行うことで、無駄のない点検を実現しようと技術開発が進められています。
建設現場で
建設現場でも、同じようにドローンの機動性を活用しようと様々な方法が模索されています。建設現場では、毎年300人ほどが労働災害によって死亡しており、その4割が転落事故と言われています。高所での作業には命綱を使用することが義務付けられているものの、命綱を引っ掛けるための“親綱”を設置することも人力で行わなければならず、この作業そのものが危険を伴います。
この親綱を貼る作業をドローンで代用するサービスもあり、高所作業の負担の軽減が期待されています。高所での建設や修理、塗装作業などを補助するため、ドローンを用いた道具や物資の運搬作業も開発が検討されています。現時点で、ドローンを本格的に使用した建設現場は確認されていないものの、それまで非常な危険を伴う高所での建設が一層容易になる可能性があると期待されています。
老朽施設の点検で
2012年に、山梨県のトンネルで天井板が落下し、走行中の車に衝突することで9人が亡くなった痛ましい事故がありました。これにより、日本全国の道路インフラの老朽化が懸念され、点検業務がそれまで以上に増えるようになりました。法律的にも近接目視が義務化されることで、点検作業自体も複雑化しています。
そこで、一部の企業では有線のドローンを用いて構造物の点検に活かす案が検討されており、それまでの「ロープアクセス」と呼ばれる方法に変わってより安全で無駄のない点検作業が期待されています。ロープアクセスは、高速道路などのトンネルにおいて路側帯からロープを垂らして懸垂で確認するという作業ですが、危険を伴うことと、アンカーを打たなければならないことで構造物に傷がついてしまうという欠点がありました。
これを、常時電力補給できる有線のドローンで補うことで、ドローン関連した安全性も確保したまま、危険な作業を減らすことができるとして検証が進められています。